ーー感動と混乱が交差する30分ーー
エジプトにしかない現象。
ラムセス像に朝日が差し込む、
年に2回の奇跡。
それは確かに「見てよかった」と思える光景だった。
…ただし、「もう2度といいかな」とも思った。
誰かが撮ったその瞬間、私も撮っていた。

まだ夜明け前。
けど、もう人の波。

この日、一番頼りになったのはアヒル隊長。

もう、押すな押すな。
見えない、撮れない、動けない。

誰の顔に光が当たるか。
それすら決まっていたように見えた。

光が出口から差し込む。
やっと、呼吸ができた。

眩しすぎる朝日が、まるで祝福のようだった。
奇跡の光が差したその時、
神殿の中は神聖というより、戦場だった。
誰かが押し、誰かが叫び、誰かが泣きそうだった。
それでも外に出て空を見たとき、
あの騒がしさすら愛おしく思えた。
旅って、そういうもんかもしれない。
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