こんにちは、ピースボート118回クルーズに乗船中のAppyです!
クルーズ67日目の10月23日、パナマのクリストバルに寄港しました。この日は、初めてジャパングレイス主催のオプショナルツアーに参加。普通の観光ツアーとはひと味違う、「先住民族クナ族の文化体験ツアー」という、文化交流を目的とするものです。
それでは、観光レポです!
ピースボートの「文化体験ツアー」とは?
ジャパングレイスのオプショナルツアーの中に、「文化体験ツアー」というものが、ちらほらあります。ピースボートならではの特別なプログラムで、一般の観光とは一味違い、現地の人々との文化交流や、普通では体験できない現地のコミュニティを訪問し、生活に触れることを目的としています。
例えば、今回私が参加したクナ族のコミュニティを訪問するツアーでは、伝統的な手芸「モラ」の制作を実際に体験し、クナ族の文化や生活に深く触れることができます。人気があるツアーだったようで、100人もキャンセル待ちしていたそうです。
パナマの先住民「クナ族(kuna)」
パナマには多くの先住民グループが存在し、その中でも代表的なのが「クナ族」と「エンベラ族」です。これらの先住民は、それぞれ独自の文化や伝統を持ち、長い歴史の中でそれを守り続けています。
クナ族は、パナマのサン・ブラス諸島(クナ・ヤラ地域)やコロンビアのカリブ海沿岸地域に住んでいる先住民。彼らは色鮮やかな手工芸「モラ」で知られており、モラはクナ族の女性たちが作る布地を使った伝統的な刺繍アートです。モラは、彼らの衣装として着用されるほか、販売されることによってクナ族の収入源にもなっています。
ピースボートとクナ族とのつながり
ピースボートは、クナ族が文化継承に直面している課題を理解し、その支援としてモラ作りに欠かせないミシンや布、針、糸といった物資を継続的に届けています。クナ族は、手作りの「モラ」を作り、その販売を生計の一部としているため、これらの支援物資は文化を守るだけでなく、彼らの経済的自立にも寄与しています。私たちのツアー代金の一部も、この支援に役立てられているとの説明がありました。
オプショナルツアーの快適さと安全性
オプショナルツアーはとても気楽で、パナマの治安が心配される中でも、まったく危険を感じることがありませんでした。事前準備も下調べも必要なく、このような快適さに慣れてしまうと、自由行動での観光がしんどく感じてしまうかもしれません。
特に、参加者に共通するのは「歩くのが苦手」や「健康上の理由であまり歩けない」方が多く見られました。実際に、私自身も歩くのが嫌いなので、オプショナルツアーは自分にぴったりだったのかもしれません。笑
文化交流の事前準備
文化交流を目的としたオプショナルツアーでは、事前に参加者を集めた説明会が開かれることが一般的です。この説明会では、ツアーの内容や交流に関する準備事項、現地の習慣などについて詳しい説明が行われます。
ツアー準備の説明会
出発前日には、ツアー参加者向けの簡単な会合が開かれ、スタッフから持ち物や文化交流の概要が説明されました。こうした文化体験ツアーに初めて参加する方がほとんどで、多くの参加者が一人での参加でした。私も今回は一人での参加で、相方は市内観光ツアーを選んでいました。
約40名中男性は2〜3名ほどで、ほぼ女性。20代から30代の若い方も5〜6名ほど参加していたものの、年齢層は全体的にバラバラで、手芸が好きそうな方が多い印象でした。
このツアーには、クナ族のコミュニティに支援物資を届ける役割もありました。当日の集合場所には、たくさんの手提げバッグが並んでいました。1人1つを手に取り、バスに乗車。バッグの中には衣類が入っており、寄付されたもののようでした。
お礼の合唱練習
クナ族の方々へのお礼として、私たちも文化交流の一環として、オカリナの伴奏に合わせて「上を向いて歩こう」や「幸せなら手をたたこう」を披露することになり、前日に練習も行い、当日のバスの中でも練習しました。
また、文化交流グッズを持参できる人は各自持っていくよう案内がありましたが、子供たちに物を配らないようにと事前に注意がありました。これは、もらうことに依存せず、自立心を持って成長してほしいという趣旨からであり、この活動の意図を尊重したものでした。
車窓から見る景色
港周辺の車窓風景
港を出発したバスの車窓から見える風景は、雑然とした廃墟のように見えました。これまでに見た寄港地とは全く異なるもので、建物は古く傷んでおり、港周辺は治安が良くないと感じさせる光景でした。上半身裸の人がいて、貧しさが感じられる地域を通りながら、目的地へ向かいました。
クナ族コミュニティへの道中
目的地のクナ族のコミュニティまでは、バスで約1時間半。移動中、窓からの風景を楽しむことができました。港を出発してしばらくは、廃墟のようなエリアを通過しましたが、その後は徐々に田舎へ向かっていく道のり。
バスにはクナ族の方と通訳が同乗していて、彼らの文化や生活に関するお話を聞きました。
さらに、「おやすみタイム」というのが設けられていました。バスの電気が消され、参加者たちはうとうとと休息モードへ。オプショナルツアーではこうした時間がいつもあるのかはわかりませんが、これは面白い光景でした。
心温まるクナ族との文化交流
文化交流として、クナ族の子供たちや、大人による芸などが披露されました。
お返しに私たちからはオカリナと合唱で「上を向いて歩こう」と「幸せなら手をたたこう」をプレゼントしました。
この日の気温は29度に達し、エアコンのない風通しの悪い集会所に大勢が集まったため、室内は熱気でむんむんでした。事前に暑さへの注意はありましたが、予想以上の暑さ。私は何度も外に出て涼を取りながら過ごしていました。
そんな中、ふと気づけば、すでにお歌が始まっているではありませんか!あわてて集会所に戻り、無事に歌のプレゼントに参加できました。
クナ族女性との「モラ」作り体験
クナ族の女性たちに、伝統的な手工芸である「モラ」の作り方を教えてもらいました。言葉が全く通じない中でのやり取りの上、教え方が超ザックリ! 見本もなく、見よう見まねで進めるしかありませんでした。特に印象的だったのは、型紙を使わず、布をフリーハンドでじょきじょきと切る姿。南国あるあるの大らかさでしょうか。笑
また、モラ作りに使う針は日本のものよりも細くて短く、さらに針穴が非常に小さかったため、針穴に糸が通らない! 隣にいたクナ族の女性に何度も糸を通してもらいながら作業を続けました。
子供たちとの折り紙
モラ作りはほどほどに切り上げ、私は持参していた折り紙を出して、子供たちが集まる部屋へ行きました。事前に折り方を復習していたのは鶴だけだったので、もう少し簡単なものを用意しておけばよかったと大後悔。実際に、鶴を一緒に折るには子供たちには難しすぎましたが、それでも折り紙そのものを喜んでくれました。
子供たちは何度も「作って!」とリクエストしてきて、楽しそうな笑顔を見ることができました。
クナ族からの夕食のもてなし
クナ族の方々から、夕食のもてなしを受けました。メニューは、魚料理、野菜、ライスがワンプレートに盛られ、果物のお皿。まるごと一匹のお魚なんて、彼らの歓迎の気持ちが伝わってくるではありませんか!
シンプルながらも、お味は美味しかったです。この魚の名前を聞くのを忘れてしまったのが少し心残りです。
現代と伝統が交錯するクナ族の生活
クナ族のコミュニティを訪れた際に感じたのは、伝統的な生活と現代技術が共存している様子でした。スマートフォンやテレビアンテナが見られる一方で、彼らの生活は質素で、家々の作りや日常の暮らしには現代的な要素が混ざっているものの、全体としては素朴さが残っていました。
手作りモラの販売
クナ族の伝統工芸である「モラ」は、彼らにとって重要な収入源です。すべて手作りで、細やかな手間がかかるため少し高価ですが、手工芸品ならではの価値が感じられます。販売は会合が行われた部屋の周りで行われ、米ドルで購入することができました。
私はこれまでの寄港地で、日本のお友達へのお土産を買いそびれていたので、ここが絶好のチャンスでした。事前に「コミュニティで販売しているモラは高い」とスタッフから説明を受けていましたが、彼らの生活の支援になると思い、迷わずカラフルで可愛い小さめポーチをまとめ買いしました。
モラの作品は、一つ一つが手作りで、直線が少し曲がっているなどの手作り感が溢れており、それがかえって温かみを感じさせました。小さいものは3ドル、中くらいのものが5ドル、大きいものは8ドル。これらがすべて世界に一つだけのアート作品だと考えると、決して高い買い物ではないと思います。
翌日、船内で初対面のご婦人とお話ししていたら、同じツアーに参加していたことが分かりました。この方はクナ族のツアーが「今まで参加したツアーの中で最高だった」とおっしゃっていましたが、一つ後悔されたのは、米ドルを持っていくのを忘れてしまい、お土産としてモラを一つも買えなかったことだそうです。私はその話を聞いて、自分が買ったモラの中から2つお分けすることにしました。素敵な作品をシェアできて、お互いに嬉しい思い出となりました。
パナマの現代都市との対比
クナ族のコミュニティを訪れた翌日、パナマ運河を渡ると、近代的なビル群が広がる都市の景色が現れ、質素なクナ族の暮らしとの大きな対比に驚かされました。このビル群とクナ族のコミュニティがどのような関係を持っているのか疑問に感じました。特に、パナマ政府がクナ族の文化保護に積極的ではないという事実を知り、こうしたコミュニティが消滅の危機にあることが心に残りました。
伝統を守りながらの生活の葛藤
クナ族の人々が伝統を継承するために、現代的な利便性を一部犠牲にしているようにも感じられました。ピースボートのような支援団体がクナ族の文化継承を支えているものの、彼らの生活は決して豊かではなく、伝統を守るための苦労がうかがえます。コミュニティで見た景色が、どこまでが本物の生活で、どこまでが「作られたもの」なのか、考えさせられる体験でした。
終わりに
今回のツアーは、文化交流をメインにしたピースボートらしいツアーで、とても満足のいく内容でした。参加者の間でも非常に好評で、帰ってきてから他のツアーに行った友達や相方から「羨ましい!」と言われるほどでした。
クナ族のコミュニティで約4時間ほど滞在し、その後は船へ直行。ただ、一つだけ残念だったのは、市内を全く見ることができなかった点です。初めてのパナマ訪問だったので、せめて車窓からでも市街地を少し回ってもらえたら、さらに楽しめたのではないかと思います。少し贅沢な望みかもしれませんが。
なお、今日はパナマ運河を通行する日でした。9時間かけて通過した様子については、別の記事でお伝えします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
中米から南米アンデスの少数民族 そしてタイなど東南アジアの少数民族 全く陸続きではないはずなのに手工芸に共通点があります。 もしかしたら昔々のムー大陸や縄文(日本)と陸続き 共通するルーツがあるのでは? ロマンですね〜 色使い、刺繍、アップリケ とても素敵ですね!!