ピースボートには、早めに予約することで旅行代金がお安くなる「早特割引」という制度があります。通常料金よりもかなり割引されることから、とても魅力的ですよね。私自身も早特割引を利用したので、現在の価格と比較すると、とてもお得に予約することができました。
しかし、本当にお得なのかどうかは微妙だと思っています。結論から言うと、投資目線ではお得とは言えません。「え!?なぜ?」と思うかもしれませんが、かなりハイリスクだと感じながらの行動であったからです。
旅行代金を払い込んでからというもの、このまま破綻?倒産?してしまったら…代金が返って来ないのでは?という不安が常にありました。この記事では、その理由を詳しく解説していきます。
ピースボートの早特割引と旅行代金
ピースボートの早特割引は、出発のかなり前に予約を行い、前払いをすることで通常料金よりも大幅に安くなる制度です。この割引は、旅行者にとって以下のようなメリットがあります。
早特割引のメリット
割引率:
早特割引では、通常料金よりも10%~20%程度安くなることが多く、部屋クラスにもよりますが約50%割引になるケースもあります。具体的な割引率はクルーズのスケジュールやシーズンによって異なりますが、早期に予約することで確実にコストを節約できます。
確実な予約:
人気のあるクルーズでは、早期に予約をすることで希望のキャビンや日程を確保しやすくなります。
早特割引は本当にお得?
私は2022年10月に2024年8月出発のピースボート118回クルーズを、一人当たり約250万円で申し込みました。出発まで実に2年弱もあったのです。現在の料金は約350万円ですので、早特割引を利用したことで一人当たり100万円もお得になっています。
もし、さらに半年前に申し込んでいたら、約200万円程度で予約することができました。350万円が200万円ですので、40%引きぐらいですね。当時、COVID-19の影響で、世界中のクルーズ船が出航できない状況にありました。旅行代金の割引率は、普段よりもかなり高かったのです。ちょうどピースボートの破綻が危ぶまれていた時期でした。
ピースボートの経営状態は健全?
COVID-19のパンデミックが始まってから、ピースボートを含む多くのクルーズ会社は、キャンセルや返金に関する問題に直面しました。ピースボートだけではありませんが、多くの乗船予定者が、クルーズのキャンセル後に返金を受け取れない又は待たされるという問題があったようです。
ピースボートの「代金は返せない」問題
コロナ禍でクルーズが中止されたとき、多くの乗船予定者は代金の払い戻しを要求しましたが、すぐに応じてもらえなかったようです。これは、誰にもわかりませんが、今後もそのリスクは常にあると思ったほうが良いです。コロナ時のピースボートの対応は次の通りです。
クルーズ会社の資金調達の仕組み
ピースボートを含むクルーズ会社が早特割引を提供する理由は、資金調達のためです。クルーズ会社の資金調達の方法は、他に類のない特有のものです。
クルーズ船会社は前払いシステムを利用して、運転資金を確保します。前払いされた資金は次の用途に使われます。
- 現在と将来の運営資金
- 新しい船の建造や既存の船の改修
これにより、クルーズ会社は安定したキャッシュフローを確保し、運営の柔軟性を高めることができるのです。
早特割引を利用せず他に投資したら?
投資目線で考えると、早特割引がリスクとリターンの割には合わない感じがします。現に私の場合、代金を払い込んで以来、ピースボートの財政が毎日とても気になっていました。要するに、全額返金されない可能性がゼロではなかったということです。結果論として胸を撫で下ろしていますが、とてもハイリスクな投資をした気分です。
もし、申し込みに使った約250万円を他の投資に回していたら、どのようなリターンが得られたでしょうか? 以下の3つのケースでシミュレーションしてみます。
米国株投資で考えてみる
2022年10月のS&P500指数は3,859ドルでしたが、現在は5,615ドルになっています。この期間での増加率は約45%です。ドル円相場を考慮すると、2022年10月の250万円は1ドル146.13円で約17,247ドルでした。現在、これが5,615ドルに成長したとすると、ドル円157.85円を考慮して約359万円になります。株式投資には市場の変動リスクがありますが、指数に投資する場合、ゼロにはなりません。クルーズ会社の倒産リスクと比較すると、リスクはかなり低いです 。
日本株投資で考えてみる
2022年10月の日経225指数は27,105円でしたが、現在は41,190円となっています。この期間での増加率は約52%です。もし、252万円を日経225に投資していた場合、現在の価値は約383万円になります。日本株も米国株と同様に市場リスクがありますが、指数に投資する場合、ゼロにはなりません。クルーズ会社の倒産リスクと比較すると、リスクはかなり低いです 。
定期預金に置いておいた場合で考えてみる
投資はリスクが伴いますが、定期預金は元本保証でリスクが少ない選択肢です。仮に0.5%の年利で定期預金に預けていた場合、4年間での利息は約5万円になります。元本の安全性が確保されますが、リターンは非常に低いです。
結論とまとめ
ピースボートの「早特割引」は、早めに予約することで通常料金よりも大幅に割引が適用される魅力的な制度です。確かにお得な選択肢であることがわかります。
しかし、投資家目線で見た場合、その資金を他の投資に回すことの方が有利になる可能性があります。
クルーズ会社は前払いシステムを利用して安定したキャッシュフローを確保し、新しい船の建造や運営コストに充てています。投資にはリスクが伴いますが、クルーズ会社の倒産リスクと比較すると、長期的に見て株式投資の方が有利な場合があります。
最終的には、早特割引を利用してクルーズを楽しむことも素晴らしい選択ですが、リスクとリターンを考えると、そうでもないよ…というお話でした。そうは言っても、やはり支払う金額がお安い方が得した気分になりますよね。(笑)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ではでは。