エジプトに着いたその日、
私たちはナイル川沿いの5つ星ホテルに泊まった。
スイートルームだった。
部屋は広く、景色もよく、
何もかもが整っていた。
けれど、心は、
まだ空港に置き去りのままだった。
着いた。
でもまだ、始まっていなかった。
広い。
高い。
遠い。
疲れて座るしかない場所。
無駄に広い。
誰にも文句は言えなかった。
「贅沢ですね」と言えるほどの
余裕は、なかった。
甘さが襲ってくる。
疲れと一緒に。
アルコールが、味というより
「許可」だった。
結局、ここで何を味わったんだろう。
ラグジュアリーなはずの一夜だった。
だけど、ほんとうに欲しかったのは、
「おいしい」と思える味と、
ただの静けさだったのかもしれない。
おまけ|ちゃっぴー漫画
5つ星ホテルの甘くて苦い夜
写真館で伝えきれなかった“感情のすき間”を、
漫画でお届けします。

